鉄道マンの裏話実録!

某鉄道会社での出来事を面白おかしくお伝えします。辞めた今だからこそ書ける裏話や人事をしていた時の裏話までこっそりとお話ししちゃいます。

満員電車がなくならない本当の理由

 

今回は満員電車が無くならない理由について書いていきたいと思う。

 

現在の日本における痛勤(満員電車)の実態については前回の記事に書いてあるので是非読んでいただきたい。

sanbamboshi.hatenablog.com

 

そもそもこのような満員電車とはいつから始まったのだろうか。

まずはその歴史について少し書いていこう。

 

満員電車という言葉が一般化したのは高度経済成長期の出来事である。

戦後の日本において多くの国民が豊かさを求めて都市部へと人口が流入していった。

エネルギーは石炭から石油に代わり、これまでの農業中心のから工業化への一途を進んでいった。

1956年には、

もはや戦後ではない

といった言葉も生まれ、1955年から1973年までの18年間において年平均10%を超える経済成長を達した。

 

戦後からの復興で、都市部では仕事はいくらでもあったし、働けば給料は上がり、人々はどんどん豊かになり消費も増えていった。

 

そんな高度成長期が生んだ賜物が満員電車であり、それから40年以上が経つ今も都市部への人口流出は収まる気配がない。

 

戦後、東京の人口は349万人であったが高度経済瀬長期に1000万人を突破し現在では1350万人を超え、2025年まで緩やかに微増していくと予測されている。

 

現在、通勤通学で東京都へ鉄道を使って流入している人口は300万人を超えると言われ、そこに都民の人口を加えると恐るべき人数が日々痛勤を強いられていることとなる。

 

高度経済成長期から現在にかけて、日々多くの人が通勤により地獄の苦しみを味わっていることは分かったが、この痛勤(満員電車)が無くならない理由とはいったい何なのだろうか?

 

 痛勤(満員電車)が無くならない理由

・都市部への一極集中による人口増加

・同一時間帯に国民が一斉に利用するから

・輸送量増強の限界

 

これらが、まず挙げられるだろう。

 

ではそれぞれの解説に。

 

・都市部への一極集中による人口増加

これは先ほど書いた通りで、東京における人口増加は2025年まで続く見通しである。人口の増加が満員電車の無くならない理由の1つである。

適正人数の超えた東京にさらに限界を超えて人が押し寄せているので、ひとたび事故や災害で列車の運転を見合わせれば都市機能は一瞬で麻痺する。

満員電車の経済的損失は年間6兆7000億円とも言われ、国を挙げての改善の必要性があると言われているが自治体はどこまで本気なのだろうか。

 

・同一時間帯に国民が一斉に利用するから

昔から9時5時と言われ日本では昔から通勤通学の時間帯というのは変わっていない。昨今でこそ働き方改革でテレワークや在宅勤務が推奨されているが、これもまだ一部の企業のみの導入であり日本社会において一般化するのは難しいだろう。

内閣府が時差通勤などを推奨し一部の公務員などで実験的に試行してはいるものの、これも一般化するとは到底思えないし、困難な業種も多々ある。

 

・輸送力増強の限界

各鉄道会社は混雑率の緩和に対して積極的に対策を導いてきた。輸送力確保のために鉄道設備の見直しを行ってきた。一般的なものだとホーム拡張や車両や編成の改善、相互運転や複線化などだ。それ以外にもブレーキ性能の向上による最高速度の引き上げや信号設備や閉塞装置の改善による速度パターンの変更といったことなどが行われてきた。

しかしそれらもにも限界に達しつつあるが、鉄道会社としてできることはまだあるのではないだろうか。

 

以上の3点が主な満員電車の要因として挙げられるがその中でも3番目の輸送力増強の限界について掘り下げて書いていきたい。

 

 

輸送力増強の限界の真実について 

 

鉄道事業者は安全を確保するためにソフト面からハード面から様々な対策を行ってきた。それにより、300%を超える混雑率があった時代からはこれでも大分改善されてきた。

 

昨今、小池都知事マニフェストの1つにもある満員電車ゼロといった施策が挙げられているが、鉄道会社に従事していた人間からすると非常に無理な施策であると言わざるを得ない。

2階建て車両の導入やオフピーク通勤などを列挙しているがこれらは現実できなものだろうか。

 

オール2階建て車両の導入

2階建て車両はすでに在来線グリーン車で導入が進んでいるが、これを普通車両においても導入するのはどうだろうか。

単純に考えれば2倍の輸送力が確保できるため、混雑率も半分になるのではないか。

正直これは非常に安易な考え方である。

車両のドアからの乗降に今以上の時間がとられ、運行本数は大幅に減少してしまう。また新たに車両を導入しなくてはならないという面でもコストに対して効果が望めないのが現実である。

 

オフピーク通勤の推奨

オフピーク通勤についてだが、日本企業ではいまだに古くからの体質が抜けていない。その主たる企業に鉄道会社が該当する。

満員電車は辛いかもしれないが、これでも昔と比べれば改善されてきた。これでなんとかなっているんだし、皆そうしてきた歴史があるんだからいいじゃないか。と言ったところが本音だろうか。

 

鉄道会社の本音

鉄道会社の本音を言えば満員電車こそが利益そのものであり、それを無くそうだなんて思ってはいない。今後、人口減少により鉄道事業においての売上減少は避けることができない現実であるのだから、混雑緩和への対策など二の次なのである。

 

平日の日中を見れば分かると思うが、多くの路線がガラガラで空いている。多くの乗客に利用してもらって初めて利益がでる非常に薄利多売な商売なのである。

 

また鉄道の運賃というのはインフラという性質上安易に引き上げることができず鉄道事業において収益を増大化させるには乗客を確保すること以外に選択肢がない。

 

乗客=お金

 

この構図が無くならない限り満員電車が日本から無くなることはないと断言できる。

 

唯一の選択としては、全ての鉄道を国有化し国としての財源を確保し輸送力の増強を図る、これに尽きると私は考える。

 

しかしご存知の通り、国鉄破綻の歴史からあるように殿様商売である鉄道インフラが国有化されたところでより良い輸送サービスを提供できるかと言えばもちろん答えはノー!である。

 

以上のことより、満員電車は確実に都市部において無くなることは無い。

 

現状、痛勤(満員電車)を回避する唯一の方法は満員電車に乗らないことのみであり、自ら痛勤しない方法を考え出すしかないのだ。